脳卒中センター

藤枝市立総合病院は一般社団法人日本脳卒中学会より、「一次脳卒中センター」(Primary Stroke Center : PSC)として認定を受けております。

一次脳卒中センターは、
「地域の医療機関や救急隊からの要請に対して、24 時間 365 日脳卒中患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注療法を含む)を開始できる施設」
と定義されています。

脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血を指します。突然体の半分が動かなくなる、うまくしゃべれなくなる、意識が悪くなる、などの症状に代表される脳卒中は緊急性の高い疾患で、迅速な救急搬送と初期診断・初期治療が、患者さんの予後(命が助かるかどうか、後遺症がどの程度残るか)に直結します。

重症脳卒中患者への対応

当院は平成29年4月1日より救命救急センターに指定され、志太榛原二次医療圏で唯一の三次救急疾患を担う施設となりました。(救命救急センターのご案内)  通常の救急センターの機能に加え、緊急度・重症度が高く迅速で高度な三次救急医療を提供するために、多くの専門スタッフを24時間体制で配置しています。(救急体制について)

脳卒中の場合、意識障害を伴う重症の脳梗塞・脳出血・くも膜下出血が三次選定となり、救命救急センターに搬送されます。(三次救急選定基準についてとくに太い血管がつまってしまう重症の脳梗塞(主幹動脈閉塞)に対する治療方針は近年劇的に変化しており、「血栓回収療法」と呼ばれるカテーテル治療を速やかに行うことが推奨されております。本治療を速やかに行うためには、救急隊の適切な選定や救急医の的確な初期対応はもとより、CT検査、MRI検査、カテーテル室の準備、患者さんご家族へのご説明などを同時進行でこなすことが求められるため、救命救急センターの人員を最大限に活用して対応する必要があります。

重症脳卒中シミュレーションの風景

                                                重症脳卒中シミュレーションの風景

救急医、救急研修医、脳神経外科医、放射線科医、救急看護師、カテーテル認定看護師、放射線技師、カテーテル担当放射線技師、検査技師など、脳卒中の救急診療に関わるさまざまな専門スタッフが連携し、仕事を分担しながら迅速に診療をすすめるために、統一した脳卒中プロトコールを作成し、定期的なシミュレーション活動を行っています。

血栓回収療法

治療前

治療前

治療後

治療後

回収した血栓

回収した血栓

これは血栓回収療法と呼ばれる、太い血管がつまってしまった重症の脳梗塞(主幹動脈閉塞)患者に対して行われる血管内治療です。rt-PA静注療法などの従来の治療法のみを行った場合と比較して、明らかに後遺症を残す可能性を下げることが科学的に証明されています。発症から長い時間が経過してしまうと行うことが難しくなってしまいますが、近年rt-PA静注療法とともに治療の適応が拡大されつつあります。この治療は専用のカテーテルを用いて行う「脳血管内治療」のひとつであるため、施行できる医師は限られていますが、地域の重症な脳卒中症例が搬送される当院では、脳血管内治療に携わる医師を多く配置し、24時間365日体制で血栓回収療法を行える体制としています。(脳血管内治療について)

2016年に行われた全国調査では、人口10万人あたりの血栓回収療法の施行数が、全国平均が6.06件であったのに対し、静岡県では2.41件という結果でした。この数値は血栓回収療法の普及の程度や、地域の脳卒中診療が行き届いているかどうかを知るひとつの指標になります。この治療の恩恵を受けられる患者がひとりでも増えるよう、救急搬送のしくみ作りや病院連携、啓蒙活動などに力を入れ、搬送後はなるべく早く診断・治療が行えるように救命救急センターにおける体制の整備、シミュレーション活動などに取り組んでいます。

【血栓回収療法 実績】

  2019年 : 18件
  2020年 : 37件

救命センター搬送から治療開始までに要した時間

血栓回収療法実績

※救命センター非搬送時例(院内発症等)のぞく

脳梗塞が発症してから、詰まった血管を再開通させるまでの時間が早いほど、後遺症の可能性は低減します。症例の蓄積と院内体制の整備により、着実に治療開始までの時間が短縮しつつあります。

リハビリテーション

脳卒中を発症し、入院となったほぼ全ての方にリハビリテーション医療が提供されております。

リハビリテーションは治療が済んだ方が始めるのではなく、発症早期から治療と並行して始めていくことで合併症を予防し、さらには機能改善に大きく貢献することとなります。

脳卒中に対する早期からのリハビリテーションの開始は機能的な予後の改善が期待され、日本のガイドラインにおいても発症後早期からの積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められています。(脳卒中治療ガイドライン2015) 当院では、入院後早期から治療に並行して行う超急性期リハビリテーションを実施しております。(令和元年度は入院後平均0.75±1.57日)

全身状態が安定した方であれば早期から立位や歩行訓練を実施し、機能改善やADLの向上を図ります。集中治療室(ICU)での治療を要する方であっても、安静・臥床による筋力低下や関節拘縮、その他の弊害を最小限とするため、毎朝のカンファレンスに基づき、患者さんのそのときどきの状態に合わせたリハビリテーションを実施しております。(写真1)

立位や歩行訓練にあたって、麻痺等によりそれが困難な場合には装具を使用して行い、必要と判断される方については積極的に装具作製をすすめております。時には集中治療室に入院中であっても採型・作製を行い(写真2)、それを利用した立位訓練などを実施します。(写真3)

さらに脳卒中では、身体の動きが悪くなるだけでなく、失語、高次脳機能障害や嚥下障害を起こしえます。嚥下障害については、「口から食べる」ことを目標に、言語聴覚士による評価・訓練に加え、リハビリテーション科医師による内視鏡を使った嚥下機能検査(写真4)を実施しております。これにより、客観的な評価に基づいた安全な経口摂取を進めることが可能となります。その他の障害についても、専門的なスタッフによりリハビリテーション治療を行うことで、生活機能の改善が期待されます。

人工呼吸器管理中の患者に対するパッシブサイクリング

写真1
人口呼吸器管理中の患者に対する
パッシブサイクリング

下肢装具の採型の様子

写真2
下肢装具の採型の様子

装具を使用した立位・歩行訓練

写真3
装具を使用した立位・歩行訓練

内視鏡による嚥下機能評価

写真4
内視鏡による嚥下機能評価

脳卒中に対するチームサポート

脳卒中は病気の種類や重症度にもよりますが、さまざまな障害を負ってしまう病気であるため、生活機能の改善を目標とした訓練やサポートが重要となります。脳卒中を「治す」ことができなくても、「克服する」ために、私たち脳卒中センターではさまざまな方向から手助けをしています。

まずは治療の円滑な遂行や再発予防を目的に、正しい病気の理解やお薬の調整、生活習慣の見直しが重要です。また、後遺症を少しでも減らすためには上記のリハビリテーションが不可欠です。さらに、後遺症によりこれまでと同じ生活を行うことが難しくなった場合に備え、介護や障害などの社会福祉サービスについて相談員から提案し、ご家族の負担を減らすためのお手伝いをすることも、脳卒中センターの仕事です。そして何より、それまで動いていたからだが突然不自由になってしまった患者自身が抱える数々の不安や問題に耳を傾け、解決のお手伝いをすることも脳卒中センターの大切な仕事と考えます。

これらの仕事には、脳卒中を担当する科の医師のみならず、リハビリテーション科の医師、脳卒中を専門とする看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど、多くの医療スタッフが連携して関わることになります。当院に搬送されたすべての脳卒中患者さんとそのご家族様に、脳卒中を克服するための適切なサポートができるよう、各スタッフ間でのフラットな情報共有・コミュニケーションを重要視しており、その一環として週に一度の多職種による脳卒中・リハビリカンファレンスを実施しています。

多職種による連携体制

多職種による連携体制

脳卒中・リハビリカンファレンス

脳卒中・リハビリカンファレンス

地域の医療機関との連携体制

脳卒中診療は、救急病院のみで完結するものではありません。数ヶ月に及ぶリハビリテーションが必要と判断されれば、リハビリテーションを専門とする回復期病院に転院することがあります。無事に退院できたあとも、再発を予防するためにクリニックに通院したり、身体機能の維持のために介護施設に通うことになります。このように、脳卒中診療は複数の医療機関がバトンを受け渡しながら進めてゆく必要があるため、効率良く、正しく安全にバトンを受け渡せるように、各医療機関が連携して作り上げる診療計画書を「地域連携クリティカルパス」と呼んでいます。

これを作成することにより、医療者と患者で診療計画を共有することができ、診療の標準化、根拠に基づく医療の実施(EBM)、インフォームドコンセントの充実、業務の改善、チーム医療の向上などの効果が期待されます。

当院では、志太榛原脳卒中地域連携パスを利用しています。患者さんひとりひとりの病状やニーズに合わせ、急性期病院から回復期病院を経て、早期に自宅へ帰れるような診療計画を作成し、治療を受ける医療機関で共有して用いられています。診療にあたる複数の医療機関がそれぞれの役割分担を決め、施設ごとの診療内容や治療経過、最終ゴール等を診療計画書に追記し、患者さんに診療内容を提示、説明することにより安心して医療が受けることができるようになります。

患者用診療計画書の一例

診療計画書の一例(患者用)

病院用診療計画書の一例

診療計画書の一例(病院用)

脳血管健診

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の予防には、健診が欠かせません。高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、食生活、喫煙の有無、運動の習慣、体質など、さまざまな因子が脳卒中の発症に関連しています。健診結果をもとに自分の生活習慣を見直し、生活習慣病の治療を行うことが、脳卒中予防の第一歩と言えるでしょう。しかし、通常の健診や人間ドックでは調べることのできない脳血管の病気もあります。その代表が脳動脈瘤と血管狭窄です。脳血管にできる病気は、脳卒中を起こすまで自覚症状がない場合も多く、脳血管にターゲットを絞った検査をしない限り、これらの病気を脳卒中発症前に見つけることは難しいのが現状です。

当院では、脳卒中の原因となりうる脳血管の病気がないかどうか調べてみたいという方に対し、「脳血管健診」を行っています。脳血管健診では、MRI装置を用いて、脳と頚部(首)の血管を撮影し、病気の有無を判定しています。10分程度の検査で、脳卒中の原因となりうるさまざまな病気を見つけることができます。

詳しくは藤枝市立総合病院 健診センターまでお問い合わせください。

脳血管の病気だけではなく、脳腫瘍や無症候性脳梗塞など、脳全体を撮影しなければわからない病気も含めてしっかりと調べたい方は、当院の脳血管健診ではなく脳ドックを受けられることをお勧めいたします。

脳動脈瘤

脳血管健診で見つかる病気の例

血管狭窄
この記事に関するお問い合わせ先
脳卒中センター

住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
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更新日:2021年04月05日