向いてないと思った看護の仕事が、関わり方で変わる患者さんの姿に楽しみが見えた新人の頃

看護師 高橋夕梨乃

紺色のナースウェアを着た高橋夕梨乃さんの顔写真

私が幼少の頃、祖母が病気になり、母が介護をしていました。私もお手伝いをするようになり、祖母と話をしたり、用事をしたりすると、大したことをしていないのに「ありがとう」と言われることに子どもながらに喜びを感じていました。こういう体験がいつしか誰かの役に立てる仕事をしたいという想いに変わり、看護師になる道を選びました。新人の頃は、やるべき業務に追われる毎日でした。患者さんの話をもっと聞いてあげたい、どんな風に関われば喜んでもらえるだろうかといったこと気にしているのですが、全く余裕がない状態で、自分は看護師に向いているのだろうかという気持ちでいました。しかし、辞める勇気もなく、時間がどんどん経っていきました。徐々に仕事にも慣れ、自分が意図することをできるようになってきました。例えば、患者さんからリハビリの相談を受けて、リハビリのスタッフと一緒に考えて、自分の役割を果たしていくといったようなことから始まり、できることがどんどん増えて行きました。向いていないと思っていた仕事が、自分の関わり方ひとつで患者さんが良くなる、喜んでくれることに楽しみを見出せるようになりました。

患者さんの想いを自分の基準で決めつけず、一つ立ち止まって考えて看護をしていきたい

私は看護をする上で、患者さんの想いを自分の基準で決めつけないことを大切にしています。患者さんが痛いと言えば痛いのであって、言っていることをまずはそのまま受け止めるようにしています。現在は、集中治療室に所属しており、声に出せない患者さんが多いので、声が出せなくてもちょっとした患者さんの行動をよく観察して、想いを推測しながら関わっています。しかし、その推測もやはり決めつけることをしないようにしています。例えば、口に管を入れている患者さんがやたらと管に手を持っていくとします。抜けると危険という判断をする前に、のどが苦しいのではないかと根底にある思いを察して、苦しくないようにするにはどうしたら良いかといったことを一つ立ち止まって考えるようにしています。また、家族とのコミュニケーションを大切にしています。入院前の自宅での生活習慣、寝る体勢、好きな音楽などを教えてもらい、意志表示が困難な患者さんの入院生活を少しでも快適になるようにしていくようにしています。好きな音楽を聴くだけで、患者さんの表情が柔らかくなるとホッとします。

将来、自宅で過ごしながら医療を必要とする人たちの人生のお手伝いをしていきたい

看護師になって14年が経ちますが、この仕事の魅力は患者さんの人生のお手伝いができることだと思います。患者さんにとって病気や怪我は突然のように襲い掛かり、それが自分の人生を左右することも多々あります。そして、病気や怪我が完治せずに、それを抱えながらその後の人生を歩んでいかなければならない人もたくさんいます。家族には言えないこと、友人・知人にも知られたくないことを看護師である私たちには打ち明けて、楽な気持ちになる瞬間を何度も経験しています。こんなに深く関わることができる職業は他にないように思っています。私は、将来、在宅看護に関わりたいと思っています。知識や経験は全くないので、これから勉強していく必要がありますが、病気や怪我をした人が自宅でゆったりした気持ちで、自分のペースで生活ができるような医療ケアが必要だと常々感じていました。振り返ると、祖母の介護のお手伝いが私に看護師への道を開いてくれたきっかけでしたが、近い将来、自宅で過ごしながら医療を必要とする人たちに医療者として関わっていきたいと思います。

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更新日:2023年03月07日