あわただしさの中にも患者・家族の先を見据えた看護をし、いい形で病棟に引き継ぎたい

救命救急センター 師長 小林綾乃

エンジ色のナースウェアを着た小林綾乃さんの顔写真

私たち救命救急センターには重症患者さんが多く、自身ではコミュニケーションが取れないとこともよくあります。しかも、在院日数が平均5日程度、場合によっては1~2日といった短い時間の中で、いかに看護を実践していくかということが大切になります。病棟のようにじっくり付き添う看護ができないのが現実です。そこで、私たちが大切にしているのは、家族との関わりです。家族への対応一つで患者さんのことはかなり見えてきます。病態を診て、医師の指示に基づき仕事をしますが、その中で、患者の生活、動き、健康状態を看て、知り得る情報をスタッフ間で、また家族と共有するようにしています。患者さんがよくなることもあれば、突然悪くなることがあるので、日々家族のケアも大切にしています。また、現在の医療は入院期間が短く、その中に救急での日数も含まれるため、初めの第一歩を強く意識しています。それは、私たちがあわただしさの中にも先を見据えた看護をし、病棟にバトンタッチをするということです。例えば、患者さんの状態によっては、ソーシャルワーカーやケアマネジャーを入れて退院を見据えた準備をしておいてはどうかといったことを、私たちの段階で判断することで、引き継がれた病棟の看護師の仕事はやりやすくなり、結果的に看護の質の向上に繋がると考えています。

得意や弱点が違うことを認め合い、補い合い、共に高め合えるような職場にしたい

私たちの部署は、様々な部署を経験した人たちで構成されています。病棟、ICU、救急外来と様々です。例えば、ICUを経験してきた看護師は患者さんと深くかかわるのが得意です。一方、病棟を経験してきた看護師は全体を見るのが得意です。それぞれには強みがあり、弱みもあります。私はこの違いを尊重した部署にしていきたいと考えています。お互いに苦手なこと、不得手なことを指摘し合うのではなく、認め合い、補い合うこと、それを通じて共に高め合えるようにしたいと考えています。その中で、私が意識していることは、スタッフが構えず、自分の考えを言いやすい雰囲気を作ることです。例えば、上司と話す時にはついメンバーは構えてしまうものです。カンファレンスでも上司がいるとやはり構えてしまいます。それは当然のことで、こちらが配慮すべきことだと考えています。私は、個別で話す時はできるだけ雑談を入れ、カンファレンスの時は私が三枚目の役割を意識するようにしています。要は、言葉を装わせず、いい話がどんどん出てくるように工夫しています。また、私たちの部署では次に出勤してきた時に、昨日までいた患者さんがもういないということは多々あります。そんな時、私が患者さんからの情報を得て、「ありがとうと言ってらっしゃったわ」「ご家族があなたにお礼を言っといてと仰っていた」といったちょっとした言葉をメンバーに伝えるようにしています。あわただしさの中に看護のやりがいを感じてほしいからです。

患者さんにとって良いことだと思うことには遠慮せずに意見を言える環境づくりをしていきたい

一緒にこの部署を作ってくれている主任は私にとって心強い二人です。ICU経験者で二人の知識や経験がメンバーにも心強いようです。メンバーの得意なことが違うように、モチベーションも様々です。そのモチベーションをどう高めるか、それは、メンバーの存在価値を周知・共有する機会を私たちがいかに意識して作っていくかだと考えています。メンバーに看護を楽しんでもらいたい、喜びを分かち合ってもらいたい、それがあっての部署運営だと考えているからです。例えば、主任が夜勤で一緒だった看護師の行動や機転をみんなの前で褒めたらどうでしょう。その看護師はそれが自信になりますし、他の看護師には学びになります。いいことをすれば褒める、称えるのが自然という部署を目指し、今以上に「ありがとね」が自然に出るような部署にしていきたいと考えています。そして、多職種との関わりの中で、看護師が患者さんのことについて、これは良いことだと思うことには遠慮せずに意見を言える環境づくりをしていきたいと思います。また、同時に医師やコメディカルに対しても堂々と意見が言える看護師育成をしていきたいと思います。それもまた私たちの看護だと考えるからです。

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更新日:2023年03月07日