ラピッドレスポンスカー運用
ラピッドレスポンスカー(ラピッドカー)とは
一般に消防の救急システムは、「市民からの119通報 → 救急車出動 → 現場到着 → 救急隊による処置 → 病院への搬送」という流れで傷病者を病院へ搬送します。119通報から病院到着までの時間は、早くて約30分(〜遠方の場合はそれ以上)とされており、当地域についても同様です。都会と比べると、管轄面積が広いため、搬送時間は長くなる傾向にあります。
救急患者のうち、一部の超重症症例や緊急性が高い疾患の場合、より早く医療介入(=医師・看護師の患者さんへの接触、診断・治療開始)を行うことで救命へのメリットが得られる可能性があります。これを実現するためには、早期に「医療者が現場に直行」するシステムが必要です。これが、ラピッドレスポンスカーです。
当院のラピッドレスポンスカーでは、医師・看護師・病院救急救命士が乗車し、「キーワード方式」を採用しました。市民から消防への119要請時の「キーワード」(例:突然人が倒れた、胸痛で苦しんでいる、突然麻痺が出た、車と人が接触して飛ばされた、など)に合致した場合には、指令課から病院へ同時に情報提供をいただき、2分以内に病院から出動し、現場にかけつけるシステムです。これにより、「市民からの119通報 → 救急車出動 → 現場到着」くらいのタイミングで、「ラピッドレスポンスカーも現場へ到着」し、病院で待っているよりも早く、病院前で医療開始が実現できます。その後、消防の救急車に同乗して病院まで搬送し、引き続きの治療を継続します。
当地域において、これまでにはない、救急現場での早期医療介入を実現し、かけがえのない命をこれまで以上に守っていけるような医療体制の構築を目指していきます。
出動車両
医療者を現場に投入する目的の自動車であるので、傷病者を載せる救急車タイプではなく、小型で機動性に富む乗用車を使用します。
診療形態
ラピッドカー出動により病院前で診療が開始された場合は、「往診」となります。
救急現場や救急車内で行った医療行為については保険診療となり、医療費の一部は患者さんの負担になります。
運用開始日
令和3年11月8日
出動範囲
志太地域から開始します。
今後、志太榛原二次医療圏全域をカバーできるよう検討して参ります。
出動時間
平日午前8時30分から午後5時までの要請に対して出動します。(祝日および年末年始を除く)
関係部署
当院救命救急センターと志太広域事務組合志太消防本部と連携して開始します。
これまでに院内で取り組んできたこと
1)机上訓練
架空の症例を作成し、ラピッドカー要請から医学的に考えられること、現場での判断、処置、搬送先選定と病院への搬送などの訓練を行いました。
2)実働訓練
実際に病院救急車を使用して、院内の敷地内で、ラピッドカー要請時から患者接触、処置、搬送と三次救急の申し送りなどの流れの確認を行いました。
3)志太消防本部との合同訓練
志太消防本部に協力をいただき、指令課からラピッドカー要請と、実際に訓練用の消防救急車と病院救急車を使用して、設定された現場まで向かい、実働に近い形で、病院搬送までの流れを訓練し、問題点の抽出などを病院・消防それぞれの立場で意見交換を行いました。
4)院内システム作り
(安全対策・感染対策・教育体制・振り返りの方法など)
実際の活動
さまざまな現場に医師・看護師が向かい、救急隊の方々と協力して診療にあたります。
国道1号バイパスでの活動
救急隊との方々との活動
救急車内での医療行為1
救急車内での医療行為2
現場での活動1
現場での活動2
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更新日:2022年09月01日