股関節の診療について

当院では、あらゆる股関節疾患に悩む患者さんの社会的背景や個人的な事情に配慮し、丁寧でわかりやすい診察を心がけています。他の病院で診断がつかなかった患者さん、高度な医療技術を要する患者さんも多数紹介されてきますので、的確な診断を行うための検査や、治療法に関するわかりやすい説明を行っています。どの疾患もまずは保存治療(生活指導、運動療法、薬物療法)の可能性を追求します。保存治療に限界がある場合には、手術治療を選択します。私たちは患者さんに早期に復帰していただけるよう、できるだけ侵襲の少ない手術治療に取り組んでいます。その一つは高度な技術を要する股関節鏡視下手術です。当科では、全国でも股関節鏡視下手術に積極的に取り組んでいる施設の一つで、股関節の周囲に2~3か所の穴をあけ、そこからカメラと処置器具を入れて股関節疾患の治療を行います(図1、2)。主な適応疾患は股関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメント、化膿性股関節炎、滑膜骨軟骨腫症などです。

股関節鏡による股関節唇損傷部位の確認

図1 股関節鏡による股関節唇損傷部位の確認

股関節鏡視下に断裂した股関節唇を縫合

図2 股関節鏡視下に断裂した股関節唇を縫合


次に患者さん自身の大腿骨の角度を変える骨切り術(大腿骨頭回転骨切り術(図3)、大腿骨弯曲内反骨切り術(図4)、大腿骨外反骨切り術)、荷重部を支える骨盤の屋根を作る骨切り術(寛骨臼回転骨切り術(図5、6)、キアリ骨盤骨切り術)にも積極的に取り組んでいます。主な適応疾患は大腿骨頭壊死症、寛骨臼形成不全症、変形性股関節症などです。

大腿骨頭回転骨切り術後

図3 大腿骨頭回転骨切り術後

大腿骨弯曲内反骨切り術

図4 大腿骨弯曲内反骨切り術

寛骨臼形成不全症の単純X線写真

図5 寛骨臼形成不全症の単純X線写真

寛骨臼回転骨切り術後

図6 寛骨臼回転骨切り術後


これらの自分自身の骨で治療する手術が適応にならない場合には、人工股関節置換術が適応になります(図7、8)。当科ではできるだけ侵襲の少ない方法(小さな傷、筋肉を傷めない)で、術翌日よりリハビリを開始し、術後2週間ですべてのリハビリを終了して自宅に帰っていただく方法を行っています。

変形性股関節症の単純X線写真

図7 変形性股関節症の単純X線写真

人工股関節置換術後

図8 人工股関節置換術後


当科ではこれらの手術を行う際に、コンピューターシミュレーション技術を用い、より精度が高く確実な成果の得られる方法に取り組んでいます(図9、10)。また3Dプリンター技術を用い、実際のモデルや患者さん個別の手術支援器具を作成して術中支援を行うことにより、より精度が高く、より短時間で合併症の少ない手術を行えるような取り組みも行っています(図11)。

コンピューターによる人工股関節の術前計画

図9 コンピューターによる人工股関節の術前計画

コンピューターシミュレーションによる骨切除範囲の評価

図10 コンピューターシミュレーションによる骨切除範囲の評価

3Dプリンターで作成した大腿骨頭回転骨切り術用の術中支援器具

図11 3Dプリンターで作成した大腿骨頭回転骨切り術用の術中支援器具

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整形外科

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更新日:2024年04月01日