食物アレルギーとは

定義は「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」です。本来は細菌やウイルスなどと戦うためにある免疫が、安全なはずの食べ物を異物と勘違いして、過剰に反応してしまいます。その結果、異物を排除するためにじんましんやかゆみ、咳、嘔吐などが引き起こされます。時に、アナフィラキシーショックという血圧低下や意識障害などの全身性の強いアレルギー反応を引き起こし、命に関わる症状が出ることもあるため注意が必要です。

食物アレルギーは小児に特に多く、正確な有病率については未だはっきりとはしていませんが乳幼児の5-10%、学童期の1-3%は食物アレルギーがあると言われています。

原因食物は年齢によっても変わりますが、卵・牛乳・小麦が全体の7割程度を占め、他にもピーナッツやイクラ、甲殻類などが多いです。近年低糖質の流行もありナッツ類を摂取する機会が増えた影響かナッツ類のアレルギーも増加傾向であり、注意が必要です。

食物アレルギーの診断にはまずは問診が大切です。何歳頃に、何を、どのくらい食べて、何分後に、どのような症状が出たのか、その時の体調なども含めしっかりお話を確認することで原因となる食物・重症度をある程度予測します。また乳児湿疹やアトピー性皮膚炎を合併している場合には食物アレルギーが起こりやすいことが知られており、他のアレルギー疾患の有無や程度についても確認します。

食物アレルギーを診断するために行う検査には血液検査、皮膚検査、食物経口負荷試験などがあります。血液検査や皮膚検査で食物アレルギーの可能性を調べることはできますが、血液検査が陽性でも実際には問題なく食べる事ができることも多々あります。そのため疑いがある食べものを実際に病院で食べてみる「食物経口負荷試験*後述」が最も確実な診断法です。また実際に食物アレルギーがあることはわかっているときにも安全に摂取できる量の確認や、給食での除去を解除する目的で行うこともあります。

食物アレルギーの対応では適切な診断を受けることで、必要最小限の食物除去を行い、安全を確保しながら必要な栄養を摂取していくことが大切です。今除去されている方もいつまで除去をしたらよいか、どのくらい食べてよいかなど困っていることがありましたら随時アレルギー外来でご相談下さい。

食物経口負荷試験について

食物経口負荷試験とはアレルギーがあるもしくは疑われる食べ物を病院で段階的に食べることで症状が出現するか確認する検査です。

症状が出現しても、どのくらいの量でどの程度の症状がでたのかを確認することで今後の生活でどのように注意していくべきか判断することができます。

しかし、検査中に強いアレルギー反応が出てしまう危険があるため、当院では全例日帰り入院で食物経口負荷試験を行っています。ただしアナフィラキシーなどの強いアレルギー反応が出現した場合には1泊となります。

当日の流れ

*あらかじめアレルギー外来を受診していただき、検査の日程を組みます。

主に火曜日・水曜日に食物経口負荷試験を行っています。

当日の流れ
9時30分頃 病院に来ていただき、検査が可能か体調の確認をします。
10時頃 4B病棟で食物経口負荷試験を行います。
30分~1時間間隔で1-3回に分けて摂取していただきます。
負荷試験中は医師と看護師が注意深く症状の出現を確認します。
13時頃 昼食
14時頃 最終摂取から2時間安全が確認できれば退院となります。

当日持ってきていただくもの

  • 負荷する食物(外来で説明します)と飲み物
  • お気に入りの食器や玩具、DVDなど
  • 1泊できる準備

負荷試験の注意点

  • 体調不良時には症状が出現しやすくなるため延期となります。
  • 当日は朝食の量を控えめにして来てください。
  • 日程変更は電話ではできませんので、お手数ですが外来を受診して下さい。
  • 結果に影響する可能性のあるお薬は事前に中止して下さい(下記参照)

抗ヒスタミン薬(3日前)例:アレグラ、アレジオン、ザイザル、ジルテック

抗ロイコトリエン拮抗薬(前日)例:オノン、シングレア、キプレス

この記事に関するお問い合わせ先
小児科

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更新日:2020年05月07日