ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

前立腺肥大症について

高齢化社会のなか、前立腺がんと同時に前立腺肥大症と診断される患者さんも増えています。肥大した前立腺が尿道を圧迫することによって尿の流れが妨げられ、排尿困難、残尿感、頻尿、尿もれなどの症状を引き起こします。男性の約80%が、80歳になるまでに発症すると言われています。

軽症の場合、まず薬物療法が用いられますが、薬物療法では症状が十分に改善されない場合や重症の場合には、前立腺を切除する手術療法が選択されます。また、自覚症状がなくても、残尿が多い状態を放置しておくことにより、尿路感染症や膀胱結石などを合併したりすることもありますので、その場合にも外科的治療が必要となります。

時機を逸することなく手術を行うことで老後のおしっこの心配がなくなり健康寿命も向上すると思われます。

前立腺を核出する前と後

当科が利用している内視鏡手術

当科では原則として「ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)」、「経尿道的バイポーラ電極前立腺核出術(TUEB)」による核出手術を行っています。HoLEPやTUEBは、前立腺を構成している外腺と内腺の境界を利用して、肥大した内腺組織だけ「核出」するという非常に合理的な方法であるため、従来の「切除」に比べて以下の点で優れています。

  1. 出血が少なく輸血のリスクが低い
  2. 従来の「切除」では困難だった大きな前立腺に対しても施行可能
  3. 肥大した内腺の削り残しがほぼないので再発が少ない
  4. 「切除」と比べて術後の排尿痛がほぼない
  5. 手術後の入院期間の短縮が可能
ホルミウムレーザー前立腺核出術の手法
ルミナス

ルミナス社より画像提供

以上の理由から、HoLEPは、これからの時代の低侵襲手術として注目されています。当院では高出力100Wのホルミウムレーザー出力機器を採用しており、短時間で効率の良い核出手術が可能です。またレーザーではなく電気メスを用いるTUEBに関しても同じ原理で行う核出であるため、ガイドライン上は現状推奨度Cにとどまっていますが、HoLEP同様に良好な治療効果が報告されています。

一方、デメリットとしては一過性に失禁や尿道狭窄が起きる場合があります。

なお、本内視鏡手術にあたって当院では、

  • 前日入院とし、約1週間のクリニカルパスを用いて行っています。
  • 原則全身麻酔で行いますが、小さな肥大症に対しては腰椎麻酔も可能です。

最後に

前立腺肥大症の手術は特に排尿障害が強い方や、前立腺が大きい方には積極的におすすめしています。しかし、頻尿や尿意切迫感など、手術ですべての問題が改善するとは限らないため、その適応はよく相談して決めていきましょう。どうぞお気軽にご相談ください。


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更新日:2022年05月31日