Rezum:前立腺肥大症の経尿道的水蒸気治療(WAVE)について


Water Vapor Energy Therapy(WAVE治療)は、水蒸気を用いて前立腺を縮小させ、また術後5年時点でも安定した効果と性機能の維持が示唆されている低侵襲な経尿道的前立腺肥大症治療です。Rezum(レジューム)という機器を使用するWAVE治療は、2022年9月から本邦でも保険承認された体に負担の少ない新しい前立腺肥大症の内視鏡手術です。水蒸気を利用して肥大した前立腺組織を壊死・退縮させますが、術後5年経過時点においても効果は安定しており再手術率は低く(4~5%)、また従来の手術に比べて性機能が維持されることが示されています。

レジューム機器の画像

治療の適応

前立腺肥大症による排尿症状があり、薬物療法で充分な効果が得られない場合、または尿閉や尿路感染などの合併症がある場合に手術療法の適用が考慮されます。全身状態や基礎疾患により周術期リスクが高く、一般的な手術療法が困難な方に適用されます(日本泌尿器科学会;経尿道的水蒸気治療に関する適正使用指針)。治療する前立腺のサイズは30~80mLの大きさが適当とされています。抗血栓薬、抗血小板薬の中止は必須ではありませんが、休薬しないで手術を行う場合は出血に注意する必要があります。

治療の流れ

治療時間は平均10分以内程度と短く、当院では原則として、腰椎麻酔あるいは静脈麻酔による1~2泊の入院で行っています。治療後は、一時的な前立腺のむくみが生じるため、術後約1週間程度の尿道カテーテルの留置が必要です。したがって尿道カテーテルは退院後の外来再診時に抜去します。なお、もともと前立腺体積が大きく重度の排尿障害があった患者さんは約1か月程度のカテーテル留置が必要となることもあります。

デリバリーデバイスから水蒸気が噴霧している画像
デリバリーデバイスから水蒸気が噴霧されます。

治療の流れ1と2を表した図
治療の流れ3を表した図
  1. 麻酔後にデリバリーデバイスを尿道に挿入します。
  2. 前立腺にニードルを穿刺し、9秒間加熱された水蒸気を放出します。
  3. 加熱された前立腺組織は壊死して退縮します。

 

手術中の写真

手術中の様子

治療による合併症

主な有害事象(合併症)として、血尿、尿閉、尿路感染、疼痛などがあります。また術後3~7日は留置されたカテーテルの痛みを感じる場合があります。これらのほとんどは術後早期に発生し、軽微なものであることがほとんどです。手術の効果が出るまでに約1か月以上を要する治療であることにも注意が必要です。

この治療を希望される患者さんへ

前立腺肥大症手術には複数の方法があり、当院にはレーザーを使用するHoLEPや、経尿道的前立腺切除術TUR-Pがあります。このRezum(レジューム)を用いた前立腺の水蒸気治療をご希望の方は外来受診のうえ、医師と他の手術法を含めた治療選択の検討が必要になりますのでご相談ください。

※Rezumに関する詳しい情報は以下の企業ホームページをご覧ください。

この記事に関するお問い合わせ先
泌尿器科

住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
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更新日:2024年04月11日