超選択的TACEを行った症例
IVRの部屋
肝がんの治療
3.肝動脈閉塞術
超選択的TACEを行った症例
肝がんに対してTACEを繰り返している70歳代の女性です。肝臓の右葉頭側に3センチと8ミリの2つの肝がんが新たに見つかりました。ご相談のうえで超選択的TACEを施行することになりました。
血管造影下CT(CT angiography)
当科では肝がんのTACEの際に必ず、カテーテルから造影剤を流しながらCTを撮影する、「CT angiography」を施行します。これによって肝がんの性質、個数、場所、栄養している血管がより正確に把握できます。このCT angiographyの結果を見ながら、肝がんだけを狙い打ちする「超選択的TACE」を実際に行います。

血管と肝がんとの関係が良くわかります。赤く囲った2つ(白い腫瘤)が今回の治療対象の肝がんです。緑で囲った白い腫瘤は以前に治療した肝がんですが、よく制御出来ているので今回は治療しません。

今回の治療対象の2つの肝がんが白く明瞭に浮き上がっています。CT angiographyは肝がんの診断のうえで最も感度の高い検査といわれています。
血管撮影
CT angiographyを参考にして、実際にカテーテルを血管の中に進めていきます。肝臓の血管は「木の枝」のように広がっていますが、実際に肝がんに関連する血管だけを治療することで、正常な肝細胞の機能を温存することができます。今回は2つの肝がんを同時に栄養している血管までカテーテルを進めることができました。ここから抗がん剤と塞栓物質を注入して治療は終了です。

「木の枝」のように広がる肝臓の血管が認められます。赤矢印の部分が2つの肝がんを栄養する血管です。(黄矢印:肝がん)

肝がんの栄養血管までカテーテルを挿入して写真を撮影しました。2つの肝がんが黒い影として写っています。他の余分な血管が写っていません。こうすることで、肝がんだけを狙い打ちすることが可能となります。(黄矢印:肝がん)
術後CT
治療後に撮影されたCTです。2つの肝がんにリピオドールという油性造影剤(CTでは白く見えます)が沈着して、小さくなった肝がんが白く浮き上がっています。リピオドールがこのようにしっかりと沈着していると大半の肝がん細胞は死滅したと判断できます。治療は成功したと考えます。

2つの肝がんにリピオドールが沈着して、治療前よりも小さくなっています。
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更新日:2022年05月11日