シャント不全に対して行った症例

IVRの部屋

透析シャント不全に対する血管拡張術

シャント不全に対して血管拡張術と金属ステント留置術を行った症例

近隣の病院で透析を施行している60歳代の男性です。過去に何度かシャント不全に対してPTAを施行しているのですが、今回短期間に再びシャント不全になったということで、PTAと同時にステント留置も行うことになりました。

最初の血管造影

シャントは利き手の反対側の前腕部に作成されることが多いです。近くを走行する動脈と静脈を引き寄せて吻合し作成するので、写真のようなV字型(Y字型)の走行となります。多くのシャント不全は、吻合した静脈が細く(狭窄といいます)なったり、詰まって(閉塞といいます)しまうことで起こります。このかたも吻合部のすぐ上の静脈が狭窄していました。

最初の血管造影の写真

黄矢印が吻合部で、吻合部をはさんで血管がV字型に走行しています。赤く囲んだ部分が静脈の狭窄部です。このままではシャントがうまく機能しないばかりか、やがて閉塞してしまう恐れがあります。

血管拡張術(PTA)施行中

透析のときと同じようにシャント血管を針で刺して、そこから先端に風船のついた特殊なカテーテル(PTA バルーンカテーテル)をシャントの中にいれます。このとき患者さんに特殊な麻酔はいたしません。針を刺すときに皮膚に局所麻酔をするだけです。
狭窄部まで風船を進めることができたら、後は風船を膨らますことで血管が拡張します。

血管拡張術施工中の写真

PTA バルーンカテーテルを狭窄部まで進めて、6ミリ径の風船(赤矢印)を膨らめて狭窄した血管を拡げている途中の写真です。

ステント留置術

このかたはPTAを繰り返しても同じ場所に数ヶ月で狭窄が起こっていました。今回は狭窄の起こりやすい場所に、ステントという金属で出来た人工の筒を入れて、シャントが狭窄しにくいようにしました。(当科では透析シャント以外にも、腸骨動脈や腎動脈などにもステント留置を行っています。IVRは全身のいかなる血管に対しても、このように「拡げたり」「詰めたり」と様々な血管内治療を行うことが可能です。)

ステント留置術の写真

赤矢印で示した部分がステントです。金属のメッシュ構造の筒になっています。

治療後の血管造影

細かった部分が十分にひろがっています。このかたは治療直後に予定していた透析をすることができました。シャント不全に対するIVR治療は、治療後にすぐに透析が可能となることが長所の1つです。

治療後の血管造影の写真

矢印の部分がステントです。シャントが最初と比べて見違えるように太くなっていることがわかります。


 

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更新日:2022年05月11日