放射線検査に伴う医療被ばくに関して
放射線検査を受けられる方へ
当院では医療被ばく管理チームを立ち上げ、各放射線検査における被ばくについて月に1度ミーティングを行い、被ばく線量を管理しています。
病院での検査に伴う放射線被ばくについて (PDFファイル: 4.1MB)
1.線量の最適化について
当院の放射線検査では、法令や関連学会のガイドラインをもとに最適な条件で検査を行い、放射線による被ばくを必要最小限にしています。また、定期的に、医用放射線安全管理委員会を開催し、検査の放射線被ばく状況の報告を行っております。
2.検査の正当性
放射線検査は、被ばくの影響に比べ、検査を行って得られる情報が上回る場合にのみ検査が行われます。また、一定期間ごとに検査を行うことがありますが、病気の発見や異変、治療効果などを適切に判断し、最善の治療につなげることを目的としています。複数回の放射線検査を受けた場合、けがの回復と同じように、通常数日のうちに細胞の傷害は修復されますので、傷害が残って発がんする可能性も極めて低いことが知られています。
3.放射線の人体への影響
被ばくしたときに現れる健康影響には、組織反応(確定的影響)と確率的影響の二種類があります。
組織反応(確定的影響)
健康影響が発生する最小放射線量(しきい値)が存在するもので、しきい値を超えた場合にのみ影響が現れます。通常のCT・核医学検査ではしきい値を超えないため、組織反応は現れません。
水晶体 | 白内障 | 500 mGy |
生殖腺 | 一次不妊 | 150 mGy |
永久不妊 | 男:3500-6000 mGy | |
女:2500-6000 mGy | ||
骨髄 | 白血球減少 (造血異能低下) |
500 mGy |
皮膚 | 紅斑 | 3000-6000 mGy(1-4週間) |
5000-10000 mGy(2-3週間) | ||
一次脱毛 | 4000 mGy(2-3週間) | |
永久脱毛 | 7000 mGy(3週間) |
確率的影響
確率的影響はしきい値がなく、放射線量の増加に応じて健康影響の発生する確率が増加するもので、癌や白血病などがあります。通常のCT・核医学検査では確率的影響はほとんど現れないと考えられ、食事やストレスなど被ばく以外の因子によるものと区別が困難とされています。
放射線と生活習慣によってがんになる相対リスク
要 因 | がんになるリスク |
---|---|
1,000~2,000ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.8倍 |
喫煙 飲酒(毎日3合以上) | 1.6倍 |
痩せ過ぎ | 1.29倍 |
肥満 | 1.22倍 |
200~500ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.19倍 |
運動不足※1 | 1.15~1.19倍 |
塩分の取り過ぎ | 1.11~1.15倍 |
100~200ミリシーベルトの放射線を受けた場合 | 1.08倍 |
野菜不足※2 | 1.06倍 |
出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集2012」より作成
※放射線を受けた場合のリスクを、自発的に選択できる他のリスク要因と単純に比較することは必ずしも適切ではないものの、リスクの程度を理解する上での参考となります。
※1 運動不足:身体活動の量が非常に少ない
※2 野菜不足:野菜摂取量が非常に少ない
4.検査による被ばく
【 診断参考レベル(DRL)】
医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)によって2015年に初めて診断参考レベル(以下DRL)が策定されました。DRLは標準体格人に対する放射線検査で用いる線量の目安値とされ、これをはるかに超える線量を用いている施設は、線量の見直しを行う必要があります。DRLは臨床的な必要性があれば超過してもよいとされています。また、患者さん個人の被ばくを制限するものではないとしています。体重や体格により高い線量が必要とされる場合があるからです。
診断参考レベルの詳細については、J-RIMEホームページよりPDFの無料ダウンロードが可能です。
当院の主要な検査における線量とDRLとの比較をしました。
当院における主要な放射線検査の被ばく線量 (PDFファイル: 258.2KB)
当院における幼児股関節X線撮影の生殖腺防護について
幼児股関節X線撮影において、生殖腺に対する防護具の使用を中止しました。
詳しくは以下をご覧ください。
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更新日:2023年01月04日