肝がんの治療(治療方法について)
IVRの部屋
肝がんの治療
1.外科的切除
治療は外科で行います。病変部を外科的に切除することは、がんの根治を目指す上でもっとも効率的な手段です。ただし、肝臓はあまり大量に切除すると生命の維持ができなくなる場合があります。このため切除できる場所、領域、量に限界があります。肝腫瘍の場合、肝炎・肝硬変を合併していることが多く、このため肝臓の機能が低下しているとさらに切除が制限されます。
2.PEIT、ラジオ波灼熱療法(RFA)
治療は放射線診断・治療科と消化器内科が共同で行います。皮膚の上から肝がんを直接刺して、病変部にアルコールを直接注入したり(PEIT)、病変部を焼いたり(ラジオ波焼灼術)することで、腫瘍を壊死させる治療法です。比較的少数でかつ小さなサイズの肝がんで行われます。病変が大きかったり、多数だったりする場合は有効とはいえませんが、当院では治療効果を高めて合併症を減らす目的で、比較的大きな病変に対しては下記の肝動脈塞栓術(TACE)とRFAを併用することを積極的に行っています。
3.肝動脈閉塞術(TACE)
治療は放射線診断・治療科と消化器内科が共同で行います。肝がんは肝動脈から血流を受けているので、肝動脈にカテーテルという細い管を入れて塞栓物質(詰めもの)と抗がん剤を注入して血流を止めてしまうことで、正常の肝臓組織を切除することなく、肝がんを「兵糧攻め」にする治療法です。肝がんが多発している場合や少し大きめの場合にこの治療を行います。日本では多くの施設で行われていて、非常に有効な治療法なのですが、広範囲に塞栓物質を注入するとがんの根治性が乏しくなり、がんとは関係のない肝組織もダメージを受けて肝機能が低下することが問題視されています。当院ではIVR専任の医師(IVR専門医)がIVRの技術を駆使して、非常に細いマイクロカテーテルを肝がんのか細い栄養血管まで挿入して治療することをスタンダードとしています(超選択的TACE)。
4.肝動注化学療法(TAI)
治療は放射線診断・治療科と消化器内科が共同で行います。TACE同様に肝動脈にカテーテルを入れて、肝動脈の中に高濃度の抗がん剤を注入する治療法です。全身に注入する場合よりも抗がん剤の量を減らすことが出来るので、副作用も少なくなって、ある程度肝機能の弱った方や病気の進行した方にも行えますが、一般的にその効果はTACEに比べ劣るといわれています。現在抗がん剤の種類、使い方、投与方法(カテーテルを体内に埋め込んで行うリザーバー動注療法というものもあります)などは施設によって様々で、確立された治療方針はまだありません。当院は国内外のさまざまな治療報告に基づいて、その成績を患者さんに提示させていただくとともに、患者さんと直接相談して治療方法を決定していくようにしています。
このように肝がんは様々な治療方針が選択可能ですが、肝機能や病気の進み具合、施設間の考え方の違いなどによって選択される治療方針が異なることがあります。可能な治療方法に関して色々とお話を聞かれたうえで、最終的に決定されることをお勧めいたします。また、「弱った肝臓」と今後うまく付き合っていくためにも、普段からの肝庇護(肝臓をいたわること)を大切にしてください。
- この記事に関するお問い合わせ先
-
放射線診断科、IVR科、乳腺画像診断科
住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
お問い合わせはこちらから
更新日:2022年05月11日