透析シャント不全に対する血管拡張術

IVRの部屋

透析シャント不全に対する血管拡張術

 腎臓は尿を作ったり、老廃物を排泄したり、水分バランスの調節に関係する大切な臓器です。慢性透析患者さんは腎臓の機能が低下していますので、腎臓の働きを人工的に行う人工透析療法が必要となります。

 人工透析の方法にもいくつかありますが、一般的なのが血液透析(以下、透析)です。透析をする際は血液ポンプを用いて血液を体外に一次的に引き出すのですが、十分な血液を透析器に送るために、通常前腕部などに外科的にシャント(ブラッドアクセスや内シャントとも呼びます)を作成します。このシャントが十分に機能しないと透析が出来なくなりますので、「シャントは生命を維持するために非常に大切な血管」といえます。しかし週に2~3回の透析のたびにシャント血管は針で刺され、大量の血液がシャント血管の中を循環しますので、徐々にシャント血管が細くなったり、やがて詰まってしまうことがあります。こういった状態を「シャント不全」といいます。

 従来シャント不全が起こると、機能の低下したシャント血管をあきらめて、別の場所に新たに外科的にシャントを作成していました。しかし、全身の中でシャントが作成可能な血管はそれほど多くはないので、新しく作り変えていくうちにシャントを作ること自体が困難となって、最終的にカテーテルなどを用いて透析を行う必要がありました。

 IVRの技術が進歩した現在では、「1つのシャントをより長持ちさせる」ことが可能です。機能の低下したシャントの中に風船のついた専用のカテーテルを入れて、細くなった部分を風船で拡げてあげることで、シャントを再び透析に使用できるようにします。この風船で膨らます技術を血管拡張術(PTA)と呼んでいます。このPTAの特徴ですが、繰り返し同じシャントを治療することができます。シャントの調子が悪くなるたびにPTAを繰り返すことで、ひとつのシャントを長期間使用することができます。

 当院では、シャント不全に対するPTAを、治療経験の豊富なIVR専門医が行っております。窓口は腎臓内科になりますので、普段通院されている透析施設からの紹介状をお持ちのうえ、当院腎臓内科外来を受診してください。

この記事に関するお問い合わせ先
放射線診断科、IVR科、乳腺画像診断科

住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
お問い合わせはこちらから

更新日:2022年05月11日