「守れ腎臓!」を合言葉に病診連携5年 薬剤師参加の「ふじえだCKDネット」が大きな成果

第69回日本病院学会優良演題表彰状

藤枝市立総合病院専門医と開業医、薬剤師、市行政が一丸となって、全身性の疾患である慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目指した病診連携「ふじえだCKDネット」が、誕生5年で重症患者の減少につながる大きな成果を挙げています。国や県も病診連携の好モデルとして注目し、全国各地に広がり始めています。

実績を報告した関係組織の共同論文がこのほど、第69回日本病院学会の優良演題として表彰されました。

ふじえだCKDネットとは?

ふじえだCKDネットは、藤枝市立総合病院、藤枝市健康推進課、藤枝薬剤師会、志太医師会が連携して、地域の慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を行う取り組みです。

CKDふじえだのシール

具体的な取り組みとしては、

  • CKD診療マニュアルの共有による一貫性のある治療・指導の確立
  • CKD特定健診ハイリスク者に対し訪問指導を行うとともに、当人に医師連絡票を配布し、主治医との情報共有を推進
  • 医療費の分析に基づく地域の課題を共有
  • 重症化予防教室や減塩教室などによる市民啓発

などがあります。

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「ふじえだCKDネット」の成果

この5年間で藤枝市立総合病院では薬剤に関連した腎障害で入院する腎臓内科の患者が4分の1に減り、病院全体で腎機能の低い患者の入院割合が37%減少しました。入院時に患者さんが持参する服用薬も腎臓に負担の少ない薬が多くなりました。

CKDネットの会議の様子

CKDネットの会議の様子

藤枝市の国民健康保険特定健診と後期高齢者健診を受けた全健診受診者(40歳以上の総数約92,000人)の5年間のデータを見ると、腎機能の良好な市民が増え腎機能の低い市民が減っていることがわかりました。特に75歳以上の後期高齢者健診(受診者総数約34,600人)で腎機能の悪い方が減っています。

さらに藤枝市の国民健康保険と後期高齢者医療制度の被保険者について調べたところ、透析を受けている患者の割合が後期高齢者で10%減少しています。

山本龍夫医師の話(藤枝市立総合病院参与、元副院長・医療情報センター所長)

山本龍夫医師

「2014年に腎臓内科初の常勤医として藤枝市立総合病院に着任後、救急搬送される高齢者を薬剤管理の工夫で減らせないかという思いから薬剤師も参加するCKD病診連携を思い立ちました。腎臓内科に来る重症患者が減ってほしいという思いだけでしたが、CKDネットの効果が市民の腎機能の改善という市全体の変化に及ぶとは思いませんでした。最終目標はCKDによる腎障害の抑制と血液透析、腹膜透析や腎移植などの腎代替療法を必要とする末期腎不全の患者を減らすことです。」

この記事に関するお問い合わせ先
藤枝市立総合病院

住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122


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更新日:2021年07月16日