救命救急センターのご案内

はじめに

平成29年4月1日より当院は救命救急センターに指定され、志太榛原二次医療圏で初の3次救急を担う施設となりました。志太榛原地域は人口46万人余り、面積1209㎢の二次医療圏であり4市2町から構成されております。当センターでは、医療圏内の救急病院や診療所とも連携を図り、志太榛原地域の今後の救急医療のますますの発展・向上に努めてまいります。

救命救急センターとは

救命救急センターとは、急性心筋梗塞、脳卒中、重症感染症(敗血症性ショックや重症肺炎など)、多発外傷、出血性ショック、心肺停止、中毒、重症頭部外傷など、二次救急では対応できない複数診療科領域の重篤な、そして緊急性の高い患者様に対して迅速かつ高度な医療技術を提供し、救命に努めていく三次救急医療機関です。

当センターは救急外来部門(ER)、救急病棟部門を備え、24時間体制で救急患者の受け入れを行っております。通常の二次救急対応に加え、重症患者については別に「三次救急選定基準」を設けることで救急隊による迅速な重症度の判定を可能としました。三次選定症例に対しては、救急専従医が直接救急隊からの受け入れ要請に対応し、迅速な受け入れ準備と初期診療、入院対応と集中治療介入を行っております。救急専従医による迅速な初療に加え、各専門診療科との協力体制もスムーズに構築されており、疾患毎に迅速な専門的治療介入を実現しております。センター内には手術室と複数の初療室を始めとして、CT・一般レントゲン撮影室、超音波検査室と、20床の救急病棟が完備されております。

急性心筋梗塞・致死的不整脈・肺動脈塞栓症などは時に心肺停止となります。これらの症例において通常の心肺蘇生法では自己心拍再開しない症例では、体外循環装置(PCPS)を迅速に導入して蘇生を行う体外循環式心肺蘇生(ECPR)を2015年度より導入しております。この治療法は静岡県ではまだごく一部の施設でしか行えていない状況でありますが、一定の救命の効果をあげています。そして、循環器内科と連携し、原疾患が急性心筋梗塞であれば速やかに冠動脈インターベンション(PCI)を行い、心停止蘇生後の神経集中治療の介入を行っております。

 脳血管障害において、適応のある急性期の重症脳梗塞症例については脳神経外科・放射線科と連携し、カテーテルによる脳血管内治療も行っております。また、多発外傷や消化管、肺などの出血性症例についても各専門診療科や放射線科と連携し、必要応じてカテーテルインターベンションによる塞栓術などの治療を行います。

救命救急センターの内観

救命救急センター長あいさつ

救命救急センター長 三木靖雄

救命救急センター長
三木 靖雄

志太榛原2次医療圏での初の救命救急センターとなり、徐々に地域の医療機関や医師会、開業医などからも認知されるようになってきました。また、当救命救急センターを管轄とする志太消防本部や静岡市消防本部との連携も強化され、地域の救急を担う体制づくりを行ってきました。

救命救急センターにはICUはありませんが、救急病棟があり重症患者の受け入れもしています。人工呼吸器管理や血液浄化療法などICU管理が必要な患者を管理し、また肺炎や尿路感染などのうち重症化している感染症患者や心不全などの患者も管理しています。

救急科はwalk inでの患者や救急車搬送患者の初期対応を行っており、診断や処置が終われば専門診療科にお願いしています。しかし、重症患者や多発外傷患者、熱傷患者などは救急科での入院加療としており、救急病棟での入院加療を行います。

救急科研修医は1・2年目を合わせて4~5名程度が毎月研修しています。救急外来での診察や処置に加え、救急科で入院している患者さんの治療にもあたります。

救急医はまだまだ足りない状況であり、当院での救急科専門研修を積極的に受け入れています。

救急診療部門

【三次救急搬送】

救命救急センター指定に際し、救急専従医が24時間体制で直接受け入れ応需を行えるように専用の回線を設置し、運用しています。下記の三次救急選定基準を設け、救急隊からの重症患者の受け入れ要請、近隣の二次救急病院では対応困難な症例などの受け入れ要請などに対して対応を行っております。

【三次救急選定基準】

所管の救急隊にむけ、三次救急選定基準を当地域の救急医療の実情に合わせて策定しました。藤枝市内における選定基準、志太榛原二次医療圏広域としての選定基準を別に策定することが必要と判断し、2種類作成しております。これらについては救急隊とも協議しつつ、一定の期間で選定基準の見直しを行い適宜改定しています。下記のリンクからダウンロードが可能ですので、ご活用ください。

救命救急センターの救急診療部門は、外来部門・救命救急センター病床部門に分かれております。一次・二次救急対応としてwalk in症例、紹介症例、二次救急搬送の診療については平日日勤帯は救急専従医、夜間休日については内科救急当直医・外科救急当直医が担当しております。三次救急搬送患者初療と救命救急センター病床管理については24時間体制で救急専従医が対応しております。小児・産婦人科につきましては、各々の専門科で主に担当しております。

walk in症例についてはJTASと呼ばれる重症度判定のトリアージ基準をもとに患者様の緊急性・重症度を的確に判断し、生命危機のある患者様に対して治療介入が遅れないようなシステムを構築し初期診療を行っております。

救急病棟は20床を有した救命救急センター病床として運用しております。心肺停止蘇生後、うっ血性心不全、重症肺炎、敗血症性ショック、多発外傷などの重症救急患者様の入院管理・集中治療を担っています。気管挿管・人工呼吸管理や持続的血液濾過透析(CHDF)などの集中治療を必要とする患者様から、病状によって悪化リスクの高い厳重経過観察が必要な患者様など、救命救急センターの要項を満たす緊急・重症症例を主にケアしています。
 

≪救急外来師長より≫

救命救急センターの救急外来部門では、小児から高齢者まで幅広い年代の方々の対応をしています。年間約16000人の救急患者を受け入れ、中でも救急車の受け入れは年間約5300台(1日あたり14〜16台)に対応し、地域に根ざした救急医療の提供を行っております。また24時間体制で他部門と連携を図り、救急医と協力しながら看護スタッフも特殊検査技術向上にチーム一丸となって取り組んでいます。

≪救急病棟師長より≫

救急病棟部門の看護師は多種多様な緊急入院患者様に対応できるよう日々研鑽しています。また、患者様や御家族が安心・安全に治療が受けられるように迅速な対応と細やかな配慮ができる看護師の育成を心掛けています。
急性期集中治療をも担う当病棟では人工呼吸器や人工透析、持続的血液濾過透析(CHDF)などの管理を行うことも多々あり、集中ケア・家族看護にも力をいれて取り組んでいます。突然の疾病や外傷などで緊急入院される患者様・その御家族様は多くの不安を抱えての入院生活となります。そのためにも、救急病棟として必要とされる看護とは何か、それをどう実践していくか、日々の業務のみでなく看護研究・学会発表などの学術的活動をも通して取り組んでまいります。

実績

救急病棟 入院患者統計

救急病棟 入院患者統計
  2017年度 2018年度
新入院患者数 1785
4.9(人/日)
1531
4.2(人/日)
病棟占有患者数 7113
19.5(人/日)
7103
19.5(人/日)
年齢(平均±標準偏差)(四分位数) 72±18(1,64,76,84,104) 73±17(2,66,77,85,102)
退院時転帰 退院・転院(%) 1552(86.9) 1338(87.4)
死亡(%) 233(13.1) 193(12.6)
新入院患者数 救急科 534 524
循環器内科 365 309
消化器内科 240 206
呼吸器内科 214 206
脳神経外科 85 92
外科 88 38
整形外科 141 31
腎臓内科 35 29
呼吸器外科 18 26
糖尿病・内分泌内科 9 23
泌尿器科 6 15
皮膚科 12 12
心臓血管外科 3 6
耳鼻咽喉科 10 5
リウマチ科 8 3
形成外科 8 3
内科 13 2
産婦人科 3 1
神経内科 3 0
心療内科 5 0
歯科口腔外科 2 0
小児科 1 0

救急病棟 疾患別占有割合

2018年度ER病棟疾患別占有割合

救急外来

実績の詳細
  平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度
受診患者数 17,070 15,476 15,952 15,489
救急車台数 4,828 5,046 5,311 5,519
三次救急受入数 - - 453 545
救急外来からの入院患者数 5,126 5,066 4,559 5,192
緊急心臓カテーテル件数 158 168 136 153
緊急内視鏡件数 136 157 165 187
緊急手術数 80 108 117 114
緊急透視件数 36 61 112 88
緊急アンギオ件数 - - - 18
心肺停止症例数 125 153 130 163
緊急PCPS挿入症例数 5 4 7 9

院外心肺停止搬送症例の蘇生率向上にむけた当院での取り組みと実績

救命救急センター指定に際し、救急隊からのホットライン入電のうち、重症患者(別紙の三次選定基準による)の受け入れ可否は、24時間体制で救急専従医が電話対応を行うこととしました。救急救命士の活動のうち、心肺停止症例を始めとした重症症例に対して、病院前活動で救急隊が実施できる特定行為に対する指示を救急専従医が行っております。

●当院における院外心肺停止症例のデータ
当院における院外心肺停止症例のデータ

院外心肺停止における社会復帰率は全国データでは3%と極めて低いものであります。当院では6.9%と全国平均よりは高い傾向を示しておりますが依然低い値です。これらのうち、救命率が高いと言われているものは、「目撃のある心肺停止症例のうち心原性のもの」であり、社会復帰率は全国で8.6%、当院でのデータでは18%であります。

目撃のある院外心原性心停止の予後

そのうち、「初期波形(救急隊が到着した際に最初に得られた波形)が心室細動(VF)を呈していたもの」については最も救命率が高く、現在はAEDと呼ばれる自動体外式除細動器の市民の使用も可能となったことから救命率はここ数年で向上しました。

目撃のある院外心停止で初期波形VT/VFの予後

グラフに示しているように、「目撃のある初期波形VT・VF患者」の社会復帰率は全国平均22.2%と高く、当院では44.1%と全国平均のおよそ2倍の成績を得ております。

一方で、電気ショックなどの除細動を行っても蘇生され得ない症例が一部に存在します。これらは通常の心肺蘇生法では救命することは不可能であり、さらなる専門的介入が必要となります。
当院ではPCPS(経皮的心肺補助装置)と言われる体外循環装置を使用した心肺蘇生法(ECPR)
を2015年度より積極的に導入し、適応となる症例に使用しています。この治療法は都市部を中心として全国的に少しずつ広まってきていますが、静岡県内ではまだ一部の施設でしか行えていないのが実情です。当院でECPRを実施した症例については下記のように一定の救命の効果を上げています。

社会復帰した初期波形VT/VF症例の内訳

上の表のように、院外心肺停止のうち「完全社会復帰を果たした初期波形VT・VFの症例」23例のうち、6例にはPCPSを使用した心肺蘇生法が行われていました。言い換えれば、この6例はPCPS導入なしには救命し得なかった症例といえます。

当院での院外心停止症例の救命率は、全国平均と比すれば高い成績を収めてはおりますが、絶対値はまだまだ低く、さらなる成績向上が求められます。
心肺停止患者の救命においては、「救命の連鎖」が重要と言われています。1.心停止の予防、2.心停止の早期認識と通報、3.一次救命処置、4.二次救命処置と心拍再開後の集中治療です。BLSといった一次救命処置などの市民教育を始め、医療者と救急隊との連携、院内においては他科との連携を軸として、新たな治療法であるPCPSを使用した体外循環式心肺蘇生(ECPR)や、心拍再開後の神経集中管理まで幅広く介入し、当地域の心停止患者様の救命率向上にむけて、これからも精進していきたいと考えております。

救急体制

平日時間内
救急専従医師・三次救急対応医師 1~3名+研修医2~4名
救急外来看護師 10~12名(一部、放射線科兼務)
救急病棟看護師 8~9名
事務 2~3名

平成27年4月から救急専従医師が専従で勤務します。

時間外
内科系医師・外科系医師 2名+研修医2~4名
救急外来看護師 3~5名
救急病棟看護師 5~6名
薬剤師 1名
事務 2~5名
救急病棟医師・三次救急対応医師 1名
放射線技師(エコー、レントゲン) 2名
検査技師 1名
小児担当医師 (1名)曜日によって診察時間がことなります
その他医師(ICU・NICU) 2名

診療の順番については、より緊急性の高い患者さんを優先して治療する場合があります。 
研修医も治療に参加することをご了承ください。 

この記事に関するお問い合わせ先
医療情報室

住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
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更新日:2019年06月17日