脳卒中センター 治療部門
当院では年間400人程度の脳卒中の患者さんが入院しています。脳卒中の発症は急であることが多いため、ほとんどの患者さんは救急外来を経由して入院します。
脳卒中に対する急性期治療には、大きく分類すると以下の3つの方法があります。
- 内科的治療(飲み薬や点滴, 血栓溶解療法など)
- カテーテル治療(脳血管内治療)
- 外科手術
脳梗塞は血管が閉塞することによって症状が出現します。比較的細い血管の閉塞であれば、内科的治療が中心となります。太い血管が閉塞するタイプの脳梗塞であれば、後述するカテーテル治療(血栓回収療法)が必要になってきます。
脳出血やくも膜下出血は、血管が破綻し、脳が出血によって破壊されたり、圧迫されることで症状が出現します。脳出血の原因が脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病などの血管の異常であれば、これらの病変に対して手術が必要になります。詳しくは「脳血管障害に対する外科治療」のページをご覧ください。
手術を要さない、あるいは手術ができないタイプの脳出血の場合、内科的治療が主体となります。出血の部位や量によっては、救命困難となり、そのままお亡くなりになってしまうこともある怖い病気です。
これらの治療と並行して、後遺症を少しでも減らすためリハビリテーションを早期から行うのが一般的です。
血栓回収療法

治療前

治療後

回収した血栓
これは血栓回収療法と呼ばれる、太い血管がつまってしまった重症の脳梗塞(主幹動脈閉塞)患者に対して行われる血管内治療です。通常脳梗塞は「血栓」と呼ばれる血のかたまりによって血管が閉塞しているため、専用のカテーテルを用いて血栓を機械的に取り除くのが血栓回収療法です。
rt-PA静注療法(血栓溶解療法)などの従来の治療法のみを行った場合と比較して、明らかに後遺症を残す可能性を下げることが科学的に証明されています。発症から時間が経過すればするほど効果が乏しくなってしまうため、カテーテル治療が必要と思われる患者をトリアージし、速やかに治療に結びつけるシステムが必要になってきます。
3次救命センターを持つ当院は志太榛原地区の重症脳卒中が多く搬送されるため、救急隊・救急科・カテーテル治療を専門とする医師・看護師・放射線技師などが連動して対応にあたるTarget Strokeシステムを構築しており、24時間365日体制で血栓回収療法を行うことが可能です。
血栓回収療法に用いる道具(カテーテル)の進歩も目覚ましく、太い脳血管のみならず、中小血管の閉塞を標的とした治療や、脳の高度狭窄を標的とした治療も普及しつつあります。このような先進的な治療にも対応できるよう、院内体制を整えています。
治療件数の推移

脳梗塞が発症してから、詰まった血管を再開通させるまでの時間が早いほど、後遺症の可能性は低減します。重症の脳梗塞が疑われた際には、発見者は様子を見ずにすぐに救急要請をする必要があります。救急隊は本治療を行える病院に搬送する責務があります。搬送後は適切な初療と診断を速やかに行い、遅滞なく本治療を開始する必要があります。術者は安全かつ確実に、詰まった血管を再開通させなければなりません。この治療の恩恵を受けられる患者さんがひとりでも増えるよう、救急搬送のしくみ作りや病院連携、啓蒙活動などに力を入れ、搬送後はなるべく早く診断・治療が行えるように救命救急センターにおける体制の整備、シミュレーション活動などに取り組んでいます。
- この記事に関するお問い合わせ先
-
脳卒中センター
住所:静岡県藤枝市駿河台4丁目1番11号
電話番号:054-646-1111(代表) ファクス:054-646-1122
お問い合わせはこちらから
更新日:2023年05月24日