脳神経外科

脳神経外科は、脳を守り、命を救うために1分1秒を争う緊急手術を行う一方で、1mmにも満たない微小な血管や神経を相手に繊細な手術を行う科でもあります。藤枝市立総合病院脳神経外科では、緊急手術であっても高難度の手術であっても、患者さんの「安全」を最も重視しています。そのために私たちは、高度専門医療を提供するためのさまざまな設備や体制を整えるのみならず、治療に携わる関連部署とのコミュニケーションを重視し、総合病院の強みを最大限に生かしたチーム医療を心がけています。
スタッフ紹介
職名 | 氏名 | 卒業年 | 学会専門医資格等 |
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科部長 | 田中 悠二郎 (常勤医) |
平成19年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医・指導医 日本脳卒中の外科学会技術認定医 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医 がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 医学博士 |
医長 | 横山 智哉 (常勤医) |
平成25年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医 日本脳卒中の外科学会技術認定医 日本脳神経血管内治療学会認定脳血栓回収療法実施医 |
医員 | 山下 晃輝 (常勤医) |
令和2年卒 | がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 日本救急医学会認定JATECプロバイダー 日本救急医学会認定JPTECプロバイダー 日本救急医学会認定ICLSプロバイダー |
医員 | 柿崎 祐太 (常勤医) |
令和3年卒 | がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了 |
生天目 浩昭 (非常勤) |
平成12年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 神経内視鏡技術認定医 医学博士 |
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渡辺 大介 (非常勤) |
平成14年卒 | 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医・指導医 医学博士 Onyxプロクター業務委託契約 (日本メドトロニック株式会社) 日本脳神経血管内治療学会機関誌 査読委員 |
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岡田 博史 (非常勤) |
平成19年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医 日本脳神経血管内治療学会専門医 |
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吉岡 大和 (非常勤) |
平成30年卒 | ||
伊澤 仁之 (非常勤) |
平成8年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 日本脳卒中学会専門医 日本脳卒中の外科学会技術認定医 |
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中島 伸幸 (非常勤) |
平成8年卒 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医 神経内視鏡技術認定医 |
科紹介
脳神経外科では、脳卒中などの「脳血管」に生じる疾患、脳腫瘍などの「脳や脊髄の神経」に生じる疾患、「頭部外傷」などの疾患に対し、開頭手術や脳血管内治療(カテーテル治療)などの外科治療を行っております。地域の中核病院として、脳神経外科疾患を幅広くカバーできる体制を整えております。詳しくは「各脳神経外科疾患の取り扱い」をご参照ください。
外来では、近くのクリニックや他の診療科で見つかったさまざまな脳の病気の紹介を受けています。
当院では特に脳動脈瘤などの「脳血管障害に対する外科治療」を得意としておりますが、2020年4月より未破裂脳動脈瘤に対する血管内治療体制を強化し、専門的な知識と技術をもとに、多くの動脈瘤をカテーテルで安全に治療できるようになりました。これにより未破裂脳動脈瘤の紹介が徐々に増えています。
脳神経外科の手術を必要とする疾患は、脳卒中や頭部外傷などの救急疾患であることも多く、救急外来でも数多くの患者さんを診療しています。当院は志太榛原エリアで唯一、3次救命救急センターと集中治療室(ICU)を備え、35の診療科を標榜する総合病院です。救命救急センターには、志太榛原エリア全域より重症の救急患者さんが搬送されますが、重症患者の対応には救急科や手術室、カテーテル室など、様々な科や部署との迅速な連携が不可欠となります。ほとんどの脳神経外科の手術後はICUに入床し、専門のスタッフが24時間体制で状態を観察します。
また、地域住民の高齢化に伴い、多くの疾患を併せ持つ患者さんが増えてきており、安心・安全な手術を行う上で、複数の科にサポートしてもらう機会が大変増えています。当院の脳神経外科は、院内でのコミュニケーションや情報共有をとても大切にしており、当院の強みを最大限に生かしたチーム医療を心がけています。

科の目標
各脳神経外科疾患の取り扱い
脳神経外科の手術は、脳神経外科の専門医であれば比較的安全に行えるものから、非常に専門性が高い高難度なものまで、さまざまです。地域の中核病院として、ご紹介いただいたあらゆる脳神経外科疾患に対し、より専門性の高い治療を提供するために、私たちが取り入れている診療方針をご紹介します。
1.脳血管障害
脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、硬膜動静脈瘻、頭蓋内・頚動脈狭窄症などの脳血管に生じる疾患を総称して、脳血管障害と呼びます。これらの疾患は、当科所属の医師が最も得意としている疾患です。各疾患に関しては、「脳血管障害に対する外科治療」で詳しくご説明致します。多くの脳血管の病気が、カテーテル治療で治すことができるようになってきています。一方で、開頭手術の方が安全で確実である場合もあり、この判断には高い専門性が必要です。頭を切らずに治したい、とご希望される患者さんはぜひ一度ご相談をしに来ていただくことをお勧めします。これらの疾患に関しては、いくつかの精密検査を行ったのち、皆様が納得のいく選択をできるよう、時間をかけてご相談させていただきます。
2.顔面けいれん、三叉神経痛、舌咽神経痛
顔面の片側が勝手にぴくついてしまう「顔面けいれん」、顔面の片側や口腔内に突然鋭い痛みが走る「三叉神経痛」など、脳の神経が血管から圧迫されることによって生ずるこれらの疾患を「神経血管圧迫症候群」と呼びます。この病気そのものは命に関わる病気ではありませんが、非常に不快な症状であり、いつ症状が出現するかわからない不安感もあり、精神的に参ってしまう方もしばしばおられます。これらの疾患にはいくつかの治療方法がありますが、手術による症状の改善効果も高く、当科でも積極的に手術を行っています。耳のうしろから頚にかけての小さな傷で手術を行うことができます。「脳血管障害に対する外科治療」でも詳しく解説しています。
3.髄膜腫、聴神経腫瘍・下垂体腫瘍などの良性脳腫瘍
これらの疾患は、どこに腫瘍があるかによって、手術の難易度が大きく変わります。脳神経外科の専門医であれば安全に行えるものもありますが、「頭蓋底手術」や「内視鏡手術」を駆使しなければ摘出できないものは、とくに難易度が高く、この分野の専門チームに手術をしてもらうのが理想的です。私たちの連携施設である東京医科大学 脳神経外科には、これらの腫瘍を扱う専門チームがあります。ご希望があれば大学に紹介することも可能ですが、患者さんの移動や通院の負担を減らせるよう、必要に応じて専門チームの医師に手術応援に来てもらい、当院で治療を完結できるような体制を整えています。
4.神経膠腫(グリオーマ)などの悪性脳腫瘍
「脳そのもの」に発生する神経膠腫などの脳腫瘍は、腫瘍の種類だけで100種類を超え、CTやMRIなどの精密検査のみでは診断を確定できないこともある難しい疾患です。必要に応じて手術で腫瘍組織を取り、確定診断をしますが、頻度がとても少ない脳腫瘍の場合、組織を用いた診断も大変専門性が高くなります。比較的頻度が高く標準的治療の確立された腫瘍は当科で治療可能です。しかし、比較的稀な脳腫瘍が疑われる場合には、治療は手術のみならず、放射線療法や化学療法を組み合わせることも多いため、この分野のエキスパートのいる病院をご紹介するようにしています。
5.脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)
起立した状態でしばらくすると頭痛や頚部痛が生じ、起きていられなくなる症状(起立性頭痛)が特徴的です。頭痛に加えて、めまいや悪心などが生じることもあります。脳脊髄液の漏出や減少が原因となって起こり、事故や運動などがきっかけとなることもありますが、全く誘引がなく突然生じることもあります。しばしば診断に至るまでに時間がかかる疾患です。典型的な画像を示すものは、背中から硬膜外腔に自分の血液を注入し漏れている箇所を修復する「硬膜外ブラッドパッチ」が有効です。
6.てんかん・不随意運動・神経障害性疼痛に対する手術
当科では扱っておりませんので、これらの手術を専門的に扱っている病院をご紹介しています。
7.脳卒中・頭部外傷
脳神経外科は、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳卒中に対する緊急の手術治療・カテーテル治療を担当します。当院は日本脳卒中学会より一次脳卒中センター(Primary Stroke Center: PSC)の認定を受けた施設であり、脳卒中に対して24時間365日迅速に対応できるような体制を整えています。院内常駐の救急医と連携し、脳神経外科医が院外にいても救急で搬送された患者さんの画像にアクセスできるような専用の端末(XTREK遠隔画像参照システム )を利用することで、緊急対応を可能にしています。同様に緊急性が極めて高い重症頭部外傷に対しても、迅速に手術対応ができるようにしております。
初診について
1. 紹介元の医療機関から予約をとり受診する場合
紹介元の医療機関より直接受診申込書と紹介状のファックス送信をお願いしています。
2. 紹介状を持参のうえ、予約無しで受診する場合
平日の午前9時〜午前11時の間に直接来院していただくか、下記の連絡先より電話にて事前に受診の相談をしてください。
電話番号 | 受付時間 | |
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脳神経外科 | 054-646-1111(代表) | 平日 午後2時~4時 |
予約無しで受診した場合、紹介状をお預かりした上で、診察は後日になることがあります。
3. 脳ドック・脳血管検診で病気が見つかり、脳神経外科受診の指示があった場合
紹介状が無くても特別初診料はかかりません。
脳ドック・脳血管検診の結果をお持ちのうえ、平日の午前9時〜午前11時の間に直接来院していただくか、下記の連絡先より電話にて受診の相談をしてください。
電話番号 | 受付時間 | |
---|---|---|
脳神経外科 | 054-646-1111(代表) | 平日 午後2時~4時 |
予約無しで受診した場合、結果をお預かりした上で、診察は後日になることがあります。
他院や県外の医療機関で行った脳ドック・脳血管検診の結果でも対応いたします。
4. セカンドオピニオンをご希望の場合
5. 急な頭痛や意識消失、頭からの出血が止まらない、等ですぐにかかりたい場合
救急外来をご利用ください。緊急性が高い場合は、紹介状が無くても特別初診料はかかりません(緊急性については診察医師の判断に委ねられます)。
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更新日:2024年12月17日